「不動産投資=節税」というイメージは広く知られていますが、この言葉だけを信じて購入を決めてしまうのはリスクがあります。
節税はできても、想定外の出費や仕組みの誤解によって「逆に損だった…」というケースも少なくありません。
この記事では、不動産投資の節税効果がどのように生まれるのか、その仕組みと注意点をわかりやすく紹介します。
■ 不動産投資で節税になると言われる理由
① 減価償却で所得を圧縮できる
建物は時間が経つほど価値が下がるため、その分を「減価償却費」として経費にできます。
その結果、収支が赤字になれば給与所得と相殺でき、所得税や住民税を抑えることができる仕組みです。
② さまざまな経費が計上できる
管理費や修繕費、ローンの利息、固定資産税、火災保険料といった支出は、すべて経費として計上できます。
さらに、実際にはお金が出ていかない減価償却を加えることで「帳簿上の赤字」を作りやすくなり、その結果、節税につながります。

■ でも注意!節税だけを目的にすると危険な理由
● 節税は“税金が安くなる”だけで、利益が増えるわけではない
節税できたからといって、それがそのまま利益になるとは限りません。
仮に税負担が10万円軽くなっても、実際の収支で20万円の赤字があれば、最終的には10万円のマイナスです。
● 減価償却が終わると一気に黒字化 → 税負担が増える
築古アパートなど、償却期間が短い物件は特に注意が必要です。
節税できるのは初期の数年間に限られ、その後は税負担が増えてしまうケースがよくあります。
● キャッシュフローがマイナスでも“税金が減るからOK”は危険
手元の資金が減り続けるような運用は、長く続けるほど危険度が増します。
不動産投資の目的は“安定した収益を得て資産を築くこと”であり、節税はあくまでその結果としてついてくるものです。
● そもそも節税メリットは年収が高い人に偏る
損益通算は、税率が高い人ほど効果が出やすい仕組みです。
同じ赤字でも、年収400〜500万円の人と、年収1,000万円以上の人では、戻ってくる税金が全く違います。

■ 節税目的の投資で失敗する典型例
● 築古アパートを節税目的で購入
→ 修繕費や空室のリスクが大きく、予定以上の支出で赤字が大きくなることがあります。
● 新築ワンルームを「節税できる」と勧められて購入
→ 家賃の下落や管理費の増加、売却価格の低さが重なり、結果的に大きなマイナスになることがあります。
● 減価償却期間だけでシミュレーションして判断
→ 節税効果が切れた後に現金収支が悪化し、運用が破綻することもあります。
“節税”は魅力的に見える分、営業の話に流されやすいポイントです。

■ 本当に得するか判断するポイント
① 「税引き後キャッシュフロー」でチェック
節税で得する部分も、税金が増える部分もすべて考慮したうえで、最終的に手元に残る現金を確認することが大切です。
② 10〜20年の長期シミュレーションで判断
減価償却が終わったあとや、金利が上がったとき、修理やリフォームが必要になった場合のことも考えておくことが大切です。
③ 売却価格(出口)を現実的に見る
節税で一時的にメリットがあっても、売却時に価格が大幅に下がると、その効果はすべて相殺されてしまいます。
④ 節税“以外”のメリットがあるか
・アクセスの良さ(立地)
・家賃収入の安定性
・入居率の高さ
・将来的な資産価値
これらの条件がそろっていない節税物件は、購入を避けるべきです。

■ 結論:節税はメリットのひとつであって「目的」ではない
不動産投資の本来の目的は、
✔ 安定した収入を確保すること
✔ 長期的に資産を形成すること
✔ 老後資金の準備
といった“お金を増やす仕組みを作ること”です。
節税はあくまでその過程で得られる“おまけ”であり、節税だけを目的に投資すると失敗のリスクが高くなります。
大切なのは“節税できるか”ではなく、“長期的に利益が出せる物件かどうか”を見極めることです。これが成功への近道です。


